アプリコットはあんず。映画祭はコンペのグランプリに、金のシュロとか熊とか、それぞれで特徴のある名前がつけられています。アルメニアはアプリコット。ちょうどこの季節、たくさんのあんずが出回っています。どの家にも木を植える土地があればそれが生っている、といったほどです。子どもの頃、私の生家にもあんずの木があって、梅雨時でしたでしょうか、木に登って取って食べたものです。大きな台風でその木が倒れて、以来、あまり口にすることもなくなってしまいました。食べ過ぎるとおなかをこわす、と注意されていたのを覚えていますが、アルメニアでもそうで、いっぺんには、五つか六つというところでしょうか。ただ、そうとうにうまい。記憶にあったあんずよりもずっと甘かった、です。

メイン開場はモスクワという映画館。隣のグルジアと違って、アルメニアはロシアとの関係をうまく保っている。この映画館もソ連時代のもの。

グランプリのゴールデン・アプリコットはグルジアの「THE OTHER BANK」(向こう岸)。監督はこれが長編第一作となるゲオルギー・オーバシビリ監督。この映画祭で見つけた、もっとも美しい映画。もっともこころ痛い映画。グルジアの北西部、アブハジアまで旅をしていく少年の話です。ソ連崩壊後、グルジアはとても悲惨な現代史を経験しています。今もなお、です。撮影は半年間だったそうですが、ポスプロのお金がなくて、その後、四年間かかって完成させた、とのこと。昨年は南オセチアにロシア軍が入って、まだじっさいには軍がとどまっている状態。逆に言えば、四年前でなくては撮れなかった作品、でもあるでしよう。なんとか日本での公開の道を探りたいものです。賞金は五百万円ほど。

授賞式の翌日、それぞれのセクションの審査委員長が出席しての、記者会見。私は長編映画の部門ですが、他にドキュメンタリー、アルメニア・パノラマ部門、FIPRESCI(国際批評家連盟賞)、ECUMENICALなどがありました。

レトロスペクティブとして私の五本の映画が上映されたのですが、その会場で、映画祭のディレクターで、映画監督のハルチュン・ハチャトリアン監督から、「マスター」という称号のついた特別賞をいただきました。「死の棘」の上映にしか私は立ち会うことはできなかったのですが、スタンディング・オベーションで、ものすごくよろこんでくれました。もう十九年近く前の作品なのですが、今頃になって、映画を落ち着いて楽しんでくれている、そんなふうにも私には思えました。また、つづきを書きます。
]]>あの後、一昨日はどの映画館でも、上映前に全員が起立して黙祷するようになりました。事故とはいえ、悲惨なことです。安全が脅かされる、おろそかにされる、といったことがあちこちで起きていはしないでしょうか。
コンペの作品は十二本。国際映画祭としては多いほうではありません。ただアルメニアやグルジアなどの国々の、新しい映画はこうした機会がないとなかなか見られませんから、いい勉強にはなります。アルメニア人は、世界中にじつにたくさん散らばっているのだそうです。これもジェノサイドがあったからではあるのですが。その散らばったアルメニア人がさまざまのところで活躍していて、この映画祭にも直接、間接に関わっています。そこがなかなか面白い。
審査員は私を入れて六名。表決が三対三になったときには、チアーマンである私がもう一票投票する権利をもつ、といったことになりそうです。しかしその私が外国語が駄目で、通訳を介しての議長でもあるわけで、これは容易ではありません。みんさんそれぞれの意見を強く持っている人たちばかり、なのですから。
昨年の十一月、トリノで私の特集上映があり、そのときにアルメニアの映画祭のスタッフです、という若い女性から、同じ企画をアルメニアでもぜひやりたい、と声をかけられたのです。こうしたお誘いは結局のところ成立しないことが多いのですが、なんと一年も経ずに実現してしまいました。GOLDEN APRICOT Yerevan Interernatinal Film Festival が映画祭の正式名称で、今年が六回目になるとのことです。URLはhttp://www.gaiff.am/en/
最初はただゲストとして参加する、でしたが、マスタークラスでの二時間ほどの授業をしてほしいと要請されて、それを受けました。そうしたら今度は、映画祭のディレクターで映画監督でもあるHaruttyun Khachatryanさん(私は存じ上げていないのですが)が、私の映画を見てすごく気に入ってしまい、コンペの審査委員長を受けてほしい、と言ってきました。どうせ行っているのだからと、こちらの話もお受けしたのですが、泥縄式、というか、どうして急遽そうなってしまったのか、私にはよくわかっていません。私は都合で一日遅れての合流になるのですが、着いてからのスケジュールはびっしりとつまっているようです。あまり遊びには出歩けそうもないのですが、カスピ海と黒海に挟まれた、コーカサス山脈の南側の、小さな国。魅力的ではあります。映画祭が行われる首都エレバンには、パラジャーノフの美術館だか博物館があるそうで、それも楽しみです。パラジャーノフ監督はグルジアかと思っていたら、アルメニア人だったのですね。
行って見てから、のことですが、出来る様だったら、現地からレポートを送ります。
自然はそのように巡ってくれますが、人はなかなかうまくいきません。私の場合は、もう四月、とため息が口をついてしまいます。映画の動きがお知らせできなくて残念ですが、この四月から、たぶん二年間、月に二回、新聞のコラムを持ちます。東京新聞の朝刊、芸能欄の「言いたい放談」というものです。隔週の月曜日が私の担当ですが、一回目は新聞休刊日に当たっていて、四月二十七日からだそうです。映画を撮れない理由を八つ当たり気味に書くのならいくらでも書けますが、芸能欄とはいっても中味はなんでもいいとのことですので、そのときどきで思いついたことを、といったことになりそうです。
四月の十五日に「ポレポレ東中野」で、本橋誠一さんとのトークがあります。写真家、本橋さんの三作目の映画「バオバブの記憶」が上映中で、トークは夜の回の上映終了後です。私とのトークはさておいて、未見の方はぜひ、映画を見てください。無理やり作ったような、流行のエンタメと称する映画よりも、見ていて楽しくなります。バブバフの樹形がなんとも面白いですよ。
再放送予定日
3月8日(日)夜8時~9時(この日の放送は夜のみで、朝の放送はないそうです)
トリノ映画祭からNew Year greetings のメールが届きました。映画祭のディレクターがナンニ・モレッティからジャンニ・アメリオに代わったという知らせでもありました。政治がらみかどうかはわかりません。
群馬県で、前橋選挙区の県会議員補欠選挙が行われます。投票日は一月二十五日。私はこの地域に選挙権をもっていませんが、該当する方がおられましたら、後藤新(ごとうあらた)さんを支援してください。
94年だったでしょうか、後藤さんは、「眠る男」の脚本が上がったときの、群馬県の秘書課長でした。当時の小寺知事が全幅の信頼をおいていた方で、後藤さんは脚本を読みこんでくださり、いいじゃないですか、やりましょうよ、と大いに話を進めてくださった方です。後藤さんはまだ三十代の前半だったはずです。その後、県の出納長になり、三年ほど前に、小寺さんが後藤さんを副知事に、という人事案件を議会に提出しました。ところが、自民党県議団にこの案件を否決されてしまったのです。否決の理由は、二人とも(小寺さんも、後藤さんも)自治省の出身だから、というものでした。もちろんこれはただの言いがかり、です。二人とも群馬県に移り住んで、群馬県民として働いてこられたのですから。落下傘候補などとは違います。問題は後藤副知事を認めては、次の知事を自民党からとれない、と心配しただけのことです。ご承知のように、先の知事選で小寺さんは僅差で敗れました。そのときのことですが、元県議の某候補が民主党の、一部の応援を受けて知事選に出馬し、盛んに「眠る男」批判を展開していました。結果としては、その候補者も敗れて自民党公認の現知事が当選したのですが、今度はその某候補が、なんと自民党の公認を受けて補選に出馬するというのです。変節漢はどこの世界にもおりますが、考えなくてはいけないことは、保守王国といわれ続けてきた群馬県では、地方自治までがいまだに自民党のエゴによってふらふらしてしまう、という、相当に時代を錯誤している現実、についてです。
後藤新さんのホームページは、http://gotoarata.com/ です。
ローマでの日々は充実されていましたでしょうか。帰宅して落ち着かれたころと思われます。
26日をもってTURIN映画祭は終了したが、改めて、ご参加いただいたこと、そして上映にさいしてすばらしいお話をいただけたことに対して、感謝の意を表したいと思います。映画祭に監督ご自身にご参加 いただけたことは意義あることでしたし、最後の最後まで映画館は人で埋め尽くされておりました。そして、観客が上映を楽しんだことはまぎれもない事ですが、期間中に町中やモールで、何度、映画に感激した、という人に呼び止められたことか。
映画祭を成功に導いていただいたことに、深く感謝するとともに、(監督のレトロスペクティブは成功に終わると確信しておりましたが) 観客に監督の映画を見ていただけたことを、誇りに思っております。映画祭が監督にとって、そして我々にとっても、よい思い出となること を祈っております。最大限の敬意を表したいと思います。
マッシモ・カウーソ
]]>私はトリノ映画祭の「ゾーン」部門キュレーターを担当しているマッシモ・カウーソといいます。既にご存知だと思いますが、11月21日から29日に行われる、26回目となる当映画祭において、小栗作品のトリビュート上映を企画していましたが、それが実現できることになりました。イタリアで小栗映画全作品を上映できることを喜び、また光栄だと考えているのは私一人ではないということを信じてください。「埋もれ木」と「眠る男」(90年代から今日までに製作された日本の映画で最高峰の映画)は 大変、気に入りました。そして、最近、他の三作品全て観ましたが、それらによってあなたに対する敬意は揺るぎないものとなりました。そういう意味でも、今回のトリビュート企画は非常に光栄なことです。 さらに、今回、メールをさし上げたのは自己紹介も兼ねてはいますが、映画祭にゲストとしてご招待さしあげたいからでもあります。あなたの参加はトリビュート企画にとって非常に意義のあることですし、観客にとりましても、映画を通してだけでなく、あなたに直接会い、人柄を理解してもらうことも大切だと思っておりますので、ぜひともご参加ください。
ありがたいことですので、行ってきます。このところ韓国、イタリアと回顧上映のようなことが続き、どうも死んだ人みたいでいけませんね。早くに次をと考えてはいるのですが、それがなかなか、、、
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