

友人から時計草の鉢植えをいただいた。正しくはクダモノトケイソウで、誘引されたツルの下の方ですでに幾つか実をつけていた。
二十年近く前、私はこの甘酸っぱくておしい果実を初めて知った。「死の棘」の撮影で奄美に滞在したときである。パッションフルーツともいい、南の暖かいところで育つものだから、そのパッションとは情熱といったことかと勝手に思っていたら、そうではなかつた。Pは大文字で、キリストの受難を意味するらしい。
じっさいに花を見ると、なるほどそんな気がしないでもない。キリストが磔にあった姿だということらしいけれど、私には時計の文字盤と見る方が納得がいく。
まさかこうしたものが鉢で育てられるとは思っていなかったので、この夏はこの花と果実を十分に楽しんだ。花をつける度に綿棒で受粉し、熟れるとまるで不発弾のように鉢の中に落ちる。採りたてはピチピチで酸味も強い。十余りは収穫しただろうか。数は多くないけれど、それがかえって貴重に思えてよろこびが大きい。
鉢をくださった友人はかつて太田市場が秋葉原にあったころそこにいた人で、いまは独立して茨城で出荷組合を経営している。とにかくよく知っている。農家に作付けの指導をしながら、市場でそれを高値で売るのが仕事だから当然だとしても、聞くといちいちなるほどと思うことばかりで、摘果と摘蕾の違いなども教えられた。私などはまったく無知そのものである。
時計草のように鉢で育てられる、なにかおもしろいものは他にあるだろうかと聞くと、ドラゴンフルーツもあるよという。形といい、大きさといい、これもやってみればきっとなかなかだろう。でもその友人は、来年は鉢でスイカをやったらどうだという。小玉スイカかと聞くと、ふつうの大玉だって大丈夫だという。信じがたいけれど嘘をいう人ではない。
スイカをというのには事情がある。私のところには小さな菜園があるのだけれど、畑を開いた最初の年、とんでもなく立派なものが採れただけで、その後はどうやってもうまくいかない。こういうツルの、なん節目の雌花をこうして、などと詳しく指導を賜るのだが成果が上がらず、いってみればサジを投げて、もう鉢にしろといっていることになる。
さてどうしたものか。鉢に生ったスイカというものも見てみたい気もするが、どうも気持ちがおさまらないで、迷っている。

ほんとうに来てしまいました。文中の友人が、組合の農家の人に頼んでつくってくれたものです。私はなにもしていません。いただいただけです。スイカは大玉ではなくて、スイートボールという名前がついた、すこし小ぶりなものですが、やはり相当おかしいですね。
受粉した日が六月六日だったとメモが貼り付けてありました。大きくなるのが早いです。スイカは受粉から三十五日で収穫とのことでしたので、あと二十日もすれば食べられることになります。そこそこには甘くなるだろうといわれていますが。
ちなみに、私は今年も地植えでスイカの苗を二本、植えているのですが、なんと、この鉢物のスイカよりも葉は小さいし、貧弱です。まだ花もつけていません。友人は、まあ、今年も駄目だね、といって帰っていきました。


4月5日(土)のトークショーにおいでいただいた、本橋誠一さん。


4月6日(日)のトークショーにおいでいただいた、前田英樹さん。

二週目のトークも上映期間中に間に合えば、またアップしていただけるかもしれません。




二日目の田口ランディさんは、一ヶ月ほど前に、共同通信の私の記事に短い原稿を寄せてくれていて、画像の事物に「神」の存在を感じる、とお書きくださっています。葉の揺れ、せせらぎ、風の音、そうした画像の細部が敬虔で、宗教的でもある、と。「自然と一体化した、超越的な」なにか。田口さんらしいスピリチュアルなとらえかたでした。トークでも人物の寝ている姿、横になっている様子がすばらしいなどと、独自な感想を語ってくれました。「かや子のために」で、主人公の青年、サンジュニが夜汽車を降りてホームで水道の水を飲むシーンがあるのですが、その口の動きがいい、と、妙なところを褒めてもくれます。生態的というか、生物的というか、不思議な感覚をお持ちの方です。

次の土日は坂田明さんと内山節さんが来てくださいます。内山さんとは「時間論」といったことになればいいなあと思っています。
AOLが私の新しいインタビューをアップしてくれました。
http://international.aol.co.jp/voices/koheioguri.html
ポレポレ東中野での私の特集上映も、いよいよ今週末からです。二十三日の日曜日、朝十時半から三十分、文化放送の「浜美枝のいつかあなたと」という番組にゲストで出演しています。
<お詫びとお断り>
本特集では、<全回英語字幕付上映>と告知しておりましたが、「泥の河」「死の
棘」の2作品の字幕付上映プリントは、状態が良好ではありませんでした。
そのため、ご期待されていたお客様には大変申し訳無いのですが、「泥の河」「死の
棘」の英語字幕つき上映は、下記の回のみとさせて頂きます。
「泥の河」3.22(土)、24(月)、28(金)、29(土)、31(月)、4.4(金)、7(月)、11(金)す
べて18:30の回
「死の棘」3.27(木)、4.3(木)、5(土)、10(木)すべて18:30の回
*「泥の河」は16ミリプリントでの上映となります。
*「死の棘」は劇中、雑音が聞こえる箇所が頻繁にございます。
なお、英語字幕なしの上映回は次の通りです。
「泥の河」3.26(木)、4.2(水)、5(土)、9(水) すべて12:30の回
「死の棘」3.22(土)、24(月)、29(土)、31(月)、4.7(月) すべて12:30の回
*両作品共、35ミリプリントでの上映となります。
字幕付上映を心待ちにされていた方々に深くお詫びを申し上げますと共に、ご理解頂
けますようお願い申し上げます。
ポレポレ東中野