事業仕分けで、独立行政法人
の呆れ返った実態が明るみに出
たが、もともとなくてもいいよ
うなところがやり玉にあがった
だけで、「独法」のなにもかも
が悪いわけではない。日本で唯
一の国立映画機関であるフィル
ムセンターは「独立行政法人国
立美術館」が運営する「東京国
立近代美術館」の中にある。や
やこしいが組織的にはそうだ。
このフィルムセンターなどは、
それこそそこだけできちんと「独
立」して、丸が一つも二つも違
う予算をつけてもらわなくては
ならない。この独立行政法人化
と並んで、地方自治体では指定
管理者制度なるものが始まった。
無駄を省け、金を稼げの大合唱
で、全国の文化施設がすっかり
弱気になっている。
そんな中でいい試みがあった。
平塚市美術館で開かれている長
谷川燐二郎の、初めてとなる大
掛かりな回顧展である。画壇な
るところとは関係しないで、独
自な道を歩いた画家である。
静かで、不思議な絵が多いが、
大きな絵は一枚もない。こうし
た絵が再評価されている背景に
は、たぶん、今という時代がよ
くも悪くも関係しているだろう。
それはこの企画の立ち上がり
方にも現われている。東京では
なく地方の美術館から仕掛けら
れて、経済的な理由から平塚の
後、下関美術館、北海道立函館
美術館、宮城県美術館へと年内
いっぱい持ちまわる。面白い動
きである。
見えてあるものと、いかにも平明に向かい合っているようは見えるのですが、そう簡単でもなく、いろいろと面白いです。番組の放送は五月三十日、朝九時からNHK教育テレビです。再放送は六月六日の夜、八時です。
アプリコットはあんず。映画祭はコンペのグランプリに、金のシュロとか熊とか、それぞれで特徴のある名前がつけられています。アルメニアはアプリコット。ちょうどこの季節、たくさんのあんずが出回っています。どの家にも木を植える土地があればそれが生っている、といったほどです。子どもの頃、私の生家にもあんずの木があって、梅雨時でしたでしょうか、木に登って取って食べたものです。大きな台風でその木が倒れて、以来、あまり口にすることもなくなってしまいました。食べ過ぎるとおなかをこわす、と注意されていたのを覚えていますが、アルメニアでもそうで、いっぺんには、五つか六つというところでしょうか。ただ、そうとうにうまい。記憶にあったあんずよりもずっと甘かった、です。

メイン開場はモスクワという映画館。隣のグルジアと違って、アルメニアはロシアとの関係をうまく保っている。この映画館もソ連時代のもの。

グランプリのゴールデン・アプリコットはグルジアの「THE OTHER BANK」(向こう岸)。監督はこれが長編第一作となるゲオルギー・オーバシビリ監督。この映画祭で見つけた、もっとも美しい映画。もっともこころ痛い映画。グルジアの北西部、アブハジアまで旅をしていく少年の話です。ソ連崩壊後、グルジアはとても悲惨な現代史を経験しています。今もなお、です。撮影は半年間だったそうですが、ポスプロのお金がなくて、その後、四年間かかって完成させた、とのこと。昨年は南オセチアにロシア軍が入って、まだじっさいには軍がとどまっている状態。逆に言えば、四年前でなくては撮れなかった作品、でもあるでしよう。なんとか日本での公開の道を探りたいものです。賞金は五百万円ほど。

授賞式の翌日、それぞれのセクションの審査委員長が出席しての、記者会見。私は長編映画の部門ですが、他にドキュメンタリー、アルメニア・パノラマ部門、FIPRESCI(国際批評家連盟賞)、ECUMENICALなどがありました。

レトロスペクティブとして私の五本の映画が上映されたのですが、その会場で、映画祭のディレクターで、映画監督のハルチュン・ハチャトリアン監督から、「マスター」という称号のついた特別賞をいただきました。「死の棘」の上映にしか私は立ち会うことはできなかったのですが、スタンディング・オベーションで、ものすごくよろこんでくれました。もう十九年近く前の作品なのですが、今頃になって、映画を落ち着いて楽しんでくれている、そんなふうにも私には思えました。また、つづきを書きます。
]]>あの後、一昨日はどの映画館でも、上映前に全員が起立して黙祷するようになりました。事故とはいえ、悲惨なことです。安全が脅かされる、おろそかにされる、といったことがあちこちで起きていはしないでしょうか。
コンペの作品は十二本。国際映画祭としては多いほうではありません。ただアルメニアやグルジアなどの国々の、新しい映画はこうした機会がないとなかなか見られませんから、いい勉強にはなります。アルメニア人は、世界中にじつにたくさん散らばっているのだそうです。これもジェノサイドがあったからではあるのですが。その散らばったアルメニア人がさまざまのところで活躍していて、この映画祭にも直接、間接に関わっています。そこがなかなか面白い。
審査員は私を入れて六名。表決が三対三になったときには、チアーマンである私がもう一票投票する権利をもつ、といったことになりそうです。しかしその私が外国語が駄目で、通訳を介しての議長でもあるわけで、これは容易ではありません。みんさんそれぞれの意見を強く持っている人たちばかり、なのですから。
昨年の十一月、トリノで私の特集上映があり、そのときにアルメニアの映画祭のスタッフです、という若い女性から、同じ企画をアルメニアでもぜひやりたい、と声をかけられたのです。こうしたお誘いは結局のところ成立しないことが多いのですが、なんと一年も経ずに実現してしまいました。GOLDEN APRICOT Yerevan Interernatinal Film Festival が映画祭の正式名称で、今年が六回目になるとのことです。URLはhttp://www.gaiff.am/en/
最初はただゲストとして参加する、でしたが、マスタークラスでの二時間ほどの授業をしてほしいと要請されて、それを受けました。そうしたら今度は、映画祭のディレクターで映画監督でもあるHaruttyun Khachatryanさん(私は存じ上げていないのですが)が、私の映画を見てすごく気に入ってしまい、コンペの審査委員長を受けてほしい、と言ってきました。どうせ行っているのだからと、こちらの話もお受けしたのですが、泥縄式、というか、どうして急遽そうなってしまったのか、私にはよくわかっていません。私は都合で一日遅れての合流になるのですが、着いてからのスケジュールはびっしりとつまっているようです。あまり遊びには出歩けそうもないのですが、カスピ海と黒海に挟まれた、コーカサス山脈の南側の、小さな国。魅力的ではあります。映画祭が行われる首都エレバンには、パラジャーノフの美術館だか博物館があるそうで、それも楽しみです。パラジャーノフ監督はグルジアかと思っていたら、アルメニア人だったのですね。
行って見てから、のことですが、出来る様だったら、現地からレポートを送ります。
自然はそのように巡ってくれますが、人はなかなかうまくいきません。私の場合は、もう四月、とため息が口をついてしまいます。映画の動きがお知らせできなくて残念ですが、この四月から、たぶん二年間、月に二回、新聞のコラムを持ちます。東京新聞の朝刊、芸能欄の「言いたい放談」というものです。隔週の月曜日が私の担当ですが、一回目は新聞休刊日に当たっていて、四月二十七日からだそうです。映画を撮れない理由を八つ当たり気味に書くのならいくらでも書けますが、芸能欄とはいっても中味はなんでもいいとのことですので、そのときどきで思いついたことを、といったことになりそうです。
四月の十五日に「ポレポレ東中野」で、本橋誠一さんとのトークがあります。写真家、本橋さんの三作目の映画「バオバブの記憶」が上映中で、トークは夜の回の上映終了後です。私とのトークはさておいて、未見の方はぜひ、映画を見てください。無理やり作ったような、流行のエンタメと称する映画よりも、見ていて楽しくなります。バブバフの樹形がなんとも面白いですよ。
再放送予定日
3月8日(日)夜8時~9時(この日の放送は夜のみで、朝の放送はないそうです)
トリノ映画祭からNew Year greetings のメールが届きました。映画祭のディレクターがナンニ・モレッティからジャンニ・アメリオに代わったという知らせでもありました。政治がらみかどうかはわかりません。
群馬県で、前橋選挙区の県会議員補欠選挙が行われます。投票日は一月二十五日。私はこの地域に選挙権をもっていませんが、該当する方がおられましたら、後藤新(ごとうあらた)さんを支援してください。
94年だったでしょうか、後藤さんは、「眠る男」の脚本が上がったときの、群馬県の秘書課長でした。当時の小寺知事が全幅の信頼をおいていた方で、後藤さんは脚本を読みこんでくださり、いいじゃないですか、やりましょうよ、と大いに話を進めてくださった方です。後藤さんはまだ三十代の前半だったはずです。その後、県の出納長になり、三年ほど前に、小寺さんが後藤さんを副知事に、という人事案件を議会に提出しました。ところが、自民党県議団にこの案件を否決されてしまったのです。否決の理由は、二人とも(小寺さんも、後藤さんも)自治省の出身だから、というものでした。もちろんこれはただの言いがかり、です。二人とも群馬県に移り住んで、群馬県民として働いてこられたのですから。落下傘候補などとは違います。問題は後藤副知事を認めては、次の知事を自民党からとれない、と心配しただけのことです。ご承知のように、先の知事選で小寺さんは僅差で敗れました。そのときのことですが、元県議の某候補が民主党の、一部の応援を受けて知事選に出馬し、盛んに「眠る男」批判を展開していました。結果としては、その候補者も敗れて自民党公認の現知事が当選したのですが、今度はその某候補が、なんと自民党の公認を受けて補選に出馬するというのです。変節漢はどこの世界にもおりますが、考えなくてはいけないことは、保守王国といわれ続けてきた群馬県では、地方自治までがいまだに自民党のエゴによってふらふらしてしまう、という、相当に時代を錯誤している現実、についてです。
後藤新さんのホームページは、http://gotoarata.com/ です。