手記バックナンバー
2005年06月
オリビエさんからの手紙
2005/06/20
手記カテゴリー
カンヌ映画祭2005, 埋もれ木
カンヌ映画祭の監督週間のディレクターであるオリビエ・ペールさんから手紙が届きました。
以下、原文とともに訳文を掲載します。
これまでの25年間、数え切れないほどの国際映画祭に参加してきましたが、映画祭終了後、ディレクターからこうしてお手紙をいただいたのは初めてのことです。どれほど「埋もれ木」を大事にしてくれたのか、それが推し量れるようで、うれしい限りです。
【原文】
Paris, June 12th 2005
Dear Kohei Oguri,
Back in Paris, I want to thank you for having played a great part in the success of this 37th edition of the Directors’ Fortnight with your film The Buried Forest.
It was a real pleasure to have the opportunity to meet you and we hope that we have given you opportunities , during this festival and around our event , to meet people and make profitable contacts with other directors and professionals.
Looking forward to your future projects and to meeting you in Cannes during a future edition of the Directors’ Fortnight , the whole staff joins me to congratulate you and to wish this movie the brilliant future it deserves.
Warmest regards,
Olivier Pere
Artistic Director
【訳文】
小栗監督の「埋もれ木」のおかげで、第37回監督週間を成功に導くことができたこと、パリに戻り、改めて感謝の意を表したいと思います。
貴方にお会いできる機会をもてたことをうれしく思うとともに、貴方が映画祭やイベント中に、さまざまな人と出会うチャンスがあり、監督や映画関係者と貴重な時間を過ごすことが出来たのであれば、うれしい限りです。
次回作品を待ち望むとともに、またカンヌの監督週間でお会いできることを楽しみにしております。
私を含めてスタッフ全員が心より祝福し、「埋もれ木」が実りある結果をもたらしてくれることを、祈っています。
こころより
オリビエ
筑紫哲也さんとの対談
2005/06/14
手記カテゴリー
コラム
今月はじめ、筑紫哲也さんとの対談が早稲田大学でありました。
早稲田がオープンカレッジというものをやっていて、筑紫さんが小栗とならやってもいいと、私に声がかかったものです。
私は見たことがないのですが、アメリカのテレビに「アクターズ・ステュディオ」という番組があるそうで、筑紫さんはこういうことを日本でもやりたいのだとおっしゃっていました。三、四十人の限られた生徒を前に、映画監督なり俳優さんなりをゲストとして迎え、スピーカーがそのゲストについて徹底的に掘り下げていくのだそうです。筑紫さんも、意図はそうしたものだからと、私の新作「埋もれ木」をふくむ全作品、著書のすべてをあらためて勉強してきましたとおっしゃっていました。

筑紫さんとは朝日新聞におられたころから面識があり、私の映画はいつも気にかけていただいています。「死の棘」では、松坂慶子さんとごいっしょに「NEWS 23」で中継をつないでいただいたこともあります。映画はとてもお好きで、よく見ています。
早稲田では、募集をかけたら三千人もの応募者があり、少人数というわけにもいかなくなり、四、五百人の授業になりました。要点は、今の日本社会が「わかりやすさ症候群」に陥っていて、そうした背景をもとにして、小栗映画を読み解くというものでした。
私の映画が「わかりにくさ」の例として引かれるのは不本意ですが、スナック菓子のような映画ばかり見ていてはだめだと、筑紫さんはなかなかに過激でした。ギリシャのアンゲロプロス監督を引き合いに出して、「現代映画」は時間というものをどう捉えるようになったかと、話は進んでいきました。これは映画表現の根幹に関わる問題です。
機会があったらまたゆっくり展開してみたいテーマでした。



「埋もれ木」は昨日、無事に初日を迎えることができました。
これまで応援してくださった方々に、こころからお礼申し上げます。
シネマライズでの初回の上映後に、舞台挨拶がありました。写真は左から浅野忠信君、登坂紘光君、夏蓮です。
上映を待ち望んでいて下さった人たちが多く、ロビーでサインをしていると、広島からです、新潟からですなどと声をかけられました。うれしいですね。
劇場にはときどき顔を出そうと思っていますので、見かけたらどうぞ声をかけてください。