手記バックナンバー
2008年10月
ソウル
2008/10/24
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ソウルで私の全作品上映が行われることになりました。十一月の第二週です。週末にはアン・ソンギさん、イ・チャンドン監督とのトークも予定されています。何年も前から企画されていたのですが、なかなか実現には至りませんでした。日本映画の上映を制限する法律はすでに撤廃されていて、基本的にはどんな映画の上映も可能なのですが、問題は興行として成立するかどうかでした。韓国映画は元気だ、とだれもが思っていらっしゃるでしょうが、アート系の映画はいつも惨敗です。
イ・グァンモさんという監督がいます。七、八年前になるでしょうか、東京映画祭でグランプリをとった「故郷の春」の監督です。ヨーロッパ映画を中心に、お客さんが入りにくい現代映画を早くから輸入し続けてきた人ですが、上映する映画館に困って、「白頭大幹」という会社を立ち上げ、自ら劇場を持ってしまったのです。「眠る男」のあとでのことですが、ソウルで「眠る男」をやったら何日いけるだろうか、と話したことがあります。イ・グァンモさんは、観客は千人から千五百人といいました。ええっと私は絶句しました。だってソウルには映画を学んでいる学生たちだってずいぶんいるじゃないですか、と反論したのですが、これまでの経験から言って、最大限、そんなところ。韓国の観客はアート系の映画をまったく見てきていませんから、と。
ちようど、日本の「国際交流基金」の出先機関として、ソウル文化センターがオープンしたころでした。非営利として成立させようといろいろ努力してくださったのですが、上手くいきませんでした。今年になって、アシアナ国際短編映画祭から、私にコンペの審査委員長をやってくれと依頼があり、であればその期間に、私の五本立てをぶつけようと、映画祭、白頭大幹、ソウル文化センターがいわばタッグを組んで、ようやっと実現の運びとなりました。信じがたいと思われるかもしれませんが、たった五日間の上映でも、これだけいろいろな人の助けがないと成立しないのですね。アシアナ国際短編映画祭については、http://www.wowkorea.jp/news/enter/2008/1008/10049243.htmlを参照してください。
十一月の下旬には、イタリアのトリノ映画祭で、やはり私の特集上映が組まれています。このいきさつについては、また後日に。



群馬県の南西部にある邑楽町(おうらまち)で、表記の映画会があります。おうら、とはなかなか読めませんが、邑は「むら」「村」と同義でもあるので、こういうネーミングになりました。二年前、邑楽での小学校が、県の「映像教育実践指定校」になって、以来、私も何度となく関わりをもってきました。とても熱心な教育委員長がいらして、これまでさまざまな取り組みがなされてきました。ところが昨年、県知事が交代してからは、県教委主導のこの「映像教育」がいわば格下げになって、それぞれの自主性に任せる、といった扱いになりました。一般的にいえば「映像教育」は学校現場での優先順位は低いですから、このままでは自然消滅です。であれば、せめて映画を見るチャンスだけは残そう、という意図のもとに立ち上げられた企画です。「眠る男」を製作した知事部局の生活文化課から、地域上映の支援というかたちで、幾分かの財政支援も受けているようです。
子どもに見せる、というより子どもといっしょに考える、そんな姿勢が手作りのチラシにもよく現れています。