小栗康平 手記

トーク

2008/03/25

ポレポレ東中野での特集上映、おかげさまで無事、スタートしました。初日の一回目は、岸部さんにもおいでいただいたこともあって、満員で、通路に座布団を敷いてお座りいただかなくてはならない方々もおりました。ごめんなさい。トークのない通常の上映では、お座りいただけているようです。よろしくお願いします。
日本映画はじつにさまざまなタイプの映画が撮られるようになりました。撮影所が崩壊して、とりあえず作ることだけは自由になった、そういう事情も背後にはあるでしょう。でもそれで日本の映画が質量ともに深められたかといえば、そうも思えない。見た目には七色の風船のように色とりどりですが、手を離したらすぐにどこかへ飛んでいってしまいそうな危うさがあって、彫りの深い作品にはなかなか出会えません。岸部さんはじつにいろいろな作品に出られていますが、岸部さんがいることで、日本映画は辛うじてこちら側にとどまっている、わけのわからんところへ飛んでいってしまわないで、持ちこたえている、そんな印象が私にはあります。今の日本映画には欠かせない、貴重な俳優さんです。トークは、そんな話から始まりました。

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二日目の田口ランディさんは、一ヶ月ほど前に、共同通信の私の記事に短い原稿を寄せてくれていて、画像の事物に「神」の存在を感じる、とお書きくださっています。葉の揺れ、せせらぎ、風の音、そうした画像の細部が敬虔で、宗教的でもある、と。「自然と一体化した、超越的な」なにか。田口さんらしいスピリチュアルなとらえかたでした。トークでも人物の寝ている姿、横になっている様子がすばらしいなどと、独自な感想を語ってくれました。「伽倻子のために」で、主人公の青年、サンジュニが夜汽車を降りてホームで水道の水を飲むシーンがあるのですが、その口の動きがいい、と、妙なところを褒めてもくれます。生態的というか、生物的というか、不思議な感覚をお持ちの方です。

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次の土日は坂田明さんと内山節さんが来てくださいます。内山さんとは「時間論」といったことになればいいなあと思っています。

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