小栗康平 手記
画面のサイズ
2008/03/13
ポレポレ東中野での上映は英語のサブタイトルをつけたもので、と準備していましたが、一部のプリントに不具合がありました。フィルムは1500から2000フィートほどの長さで巻(ロール)が分けられています。ふつうの長さの映画であれば七巻、八巻となります。「死の棘」で、その偶数巻にノイズが出ていることが判明しました。二台の映写機でかけかえながら上映したときに、片方の映写機でなんらかの傷をつけたものと思われます。時間的にも経済的にも新しい英語版のプリントを用意することが出来ないために、英語版は夜の会のみの上映とするということになりました。詳細は劇場から来たメールを下記にコピーしてありますのでご覧ください。
で、そういうことならと私が提案したのは「泥の河」も昼間の上映は、サブタイトルなしの35ミリフィルムでやってほしい、ということでした。英語版は古い16ミリのものしか残っていません。35ミリと比べて当然、画質は劣ります。ポレポレはスタンダード画面が大きくきれいに映ると聞いていたからです。
ここから本題です。画面サイズはスタンダード、ヨーロピアン・ビスタ、アメリカン・ビスタ、シネマスコープといろいろあります。スタンダードからそれぞれ順番に横長なものになっています。画面を大きく見せたいという考え方からこうなってきました。人物を横の位置で撮るときには横長でもいいのですが、縦位置に置いて構図を作ろうとすると横長の画面はいかにも不自由なものになります。私はこれが嫌いで、二本目の「かや子のために」まではスタンダードでした。ところがいまや劇場でスタンダード画面を映せるところがほとんどなくなってしまったのです。ポレポレでそれができるというのであれば、ぜひいい状態で「泥の河」を見てほしい、そう願ってのことです。16ミリの英語版と35ミリのスーパーなしのものとの変則的な上映になってしまいますが、すいません。ご了承ください。ちなみに他の作品はもちろんみな35ミリで、画面サイズはヨーロピアン・ビスタサイズです。縦型と横型の、中間というあたりのサイズです。
<お詫びとお断り>
本特集では、<全回英語字幕付上映>と告知しておりましたが、「泥の河」「死の
棘」の2作品の字幕付上映プリントは、状態が良好ではありませんでした。
そのため、ご期待されていたお客様には大変申し訳無いのですが、「泥の河」「死の
棘」の英語字幕つき上映は、下記の回のみとさせて頂きます。「泥の河」3.22(土)、24(月)、28(金)、29(土)、31(月)、4.4(金)、7(月)、11(金)す
べて18:30の回
「死の棘」3.27(木)、4.3(木)、5(土)、10(木)すべて18:30の回*「泥の河」は16ミリプリントでの上映となります。
*「死の棘」は劇中、雑音が聞こえる箇所が頻繁にございます。なお、英語字幕なしの上映回は次の通りです。
「泥の河」3.26(木)、4.2(水)、5(土)、9(水) すべて12:30の回
「死の棘」3.22(土)、24(月)、29(土)、31(月)、4.7(月) すべて12:30の回*両作品共、35ミリプリントでの上映となります。
字幕付上映を心待ちにされていた方々に深くお詫びを申し上げますと共に、ご理解頂けますようお願い申し上げます。
ポレポレ東中野