小栗康平 手記
時間をほどく
2006/08/03
「時間をほどく」が出版され、一ヶ月ほど経ちました。何人かの方々から本の感想をいただきました。下記のものもその一つです。私の最初の本「哀切と痛切」をまとめてくださった編集者からのメールです。ご本人の許可を得て、匿名で転載します。私にはうれしいお便りでした。
小栗監督
新刊の刊行おめでとうございます。
朝日で広告も拝見しました。
ご寄贈に預りまして、ありがとうございました。
拝読させていただきました。
小栗さんの絶望と希望が、
全編、時と所を変えて
つづられていますが、
3章と4章はそれが凝縮されていて、
深く考えさせられました。
日本映画への希望をつなぐこと、
期待の糸を切らさないでいこうという思いを
読者は抱くに違いないと思います。
小栗さんの書き物の最大の魅力が、
見事に発揮された編集でした。
今回も触れておられますが、
映画製作と興行が日本の政治、経済、文化の
あり方と深くかかわるものであるだけに、
「希望」や「期待」をもちこたえさせるのは難業ですが、
観客はもはや「選挙民」とか「市民」と考えるべき
時代なのかもしれないですね。
群馬での映像講座にも期待しています。
あとがきにも書いておられる
田村高広さんは「泥の河」を
生涯の一作にあげておられました。
稀代の俳優の言葉は重みがあります。
またお目にかかれれば幸いです。