小栗康平 手記
5月11日、カンヌにて
2005/05/12
昨夜、ミラノ経由でカンヌに入りました。ミラノからニースまでは久しぶりのプロペラ機で、一時間半ほどのフライト、ほとんど隣町という感覚です。
カンヌは「死の棘」以来ですので、15年ぶりです。変わったことといえば、ニースからカンヌまでハイウェイが出来ていたことぐらいでしようか。
出迎えの車で20分、パーム・ビーチのホテルに入りました。先乗りしていた劇団ひまわりの砂岡代表夫妻、夏蓮、日本の配給会社のファントム・フィルム、海外配給のピラミッドの人たちと合流して、さっそく翌日のスケジュール打ち合わせです。
渡されたカタログを見ると、監督週間のディレクターであるオリビエさんがこう書いていました。
「小栗監督の新作『埋もれ木』を監督週間に招待できたことを誇りに思っているとともに、この詩的な傑作が、カンヌ映画祭と監督週間の友好的な共催を可能にした事実をとてもうれしく思っております。」
説明しますと、『埋もれ木』はカンヌのオフィシャル・セレクションという部門と監督週間という二つの部門がともにセレクションしたという意味で、こうしたことはこれまでのカンヌではなかったことだからです。というのは、この二つの部門はまったく別なセクションで、本来は競合する関係にあるものだからです。
両セクションのディレクターがともにこの作品を気に入ってくれたのですから、ありがたいことです。