小栗康平 手記

昨年の正月から初めてのブログの更新です

2012/10/29

昨年の正月から初めてのブログの更新です。ツィッターをなさっている人たちからしたらおとぎ話のような話ですね。いったん長く中断してしまうと、そもそもどこに向かってなにを書いていったらいいのかと、それすら分からなくなってしまうもののようです。新しい映画でも動き出してご報告出来ることがあればいいのですが、それもなかなかで、さてどうしたものかと気にはなりながら放置していました。先日、このブログで何回か書いてきているアントワーヌ・バローさんから、私を撮ったドキュメンタリー映画が日本でも公開されることになった、と連絡がありました。まずはそれを渡りに船として、またときどきは書いていこうかと思っているところです。まったく更新もされず、ただオフィシャルサイトとして店を開いているだけの状態でも、このサイトのアドレスに連絡や問い合わせが来たりして、とくに海外からのそれは、なるほどなあとネットの便利さを痛感させられたりしています。ぼちぼちやっていきます。

下記は、先週の月曜日、二十二日の東京新聞朝刊、芸能欄の「言いたい放談」と言うコラムに書いたものです。月に二回か三回、隔週の月曜日に書いてきて、もう三年になります。

 フランスのドキュメンタリー作家、アントワーヌ・バローさんが「夢想の森」というタイトルで私のドキュメンタリー映画を撮った。バローさんと初めて会ったのは四年前のトリノ映画祭である。そこでの私の特集上映をわざわざパリから見に来てくれていたのだ。ドキュメンタリーは二年前に完成してフランスでは上映されていたが、日本では機会がなかった。それが今度、アンスティチュ・フランセ横浜と横浜シネマ・ジャック&ベティとで開催する「現代フランスドキュメンタリー映画」の特集上映に組み込まれた。
ドキュメンタリーとはいっても「夢想の森」は、行動を追って、といった類いのものではない。問いかけられた私の発言が中心になってはいるけれど、いわゆるインタビューのようには言葉と画像とが固定されていない。バローさんの感覚に導かれるようにして、ずれて、揺れて、気づいてみると、微妙に虚構へと入っている。例えてみれば、散文が韻文に変わっていくふうでもある。
喋った本人は気恥ずかしくもあるのだけれど、フランスのドキュメンタリー作家が私の言葉のどこに関心を持ち、その同じ言葉を作り手の内部でどう変容させているのか、それは面白かった。十一月の三日と七日の上映。問い合わせは電話045 243 9800。バローさんの他の作品も見られる。

これもまたこれまで何回か取り上げてきている「邑の映画会」のことですが、今年もまた十一月三日に開催されます。今回で五回目になります。

 
邑の映画会 Vol.5 パンフレットPDF:1
邑の映画会 Vol.5 パンフレットPDF:2

下記は友人の佐伯 剛さんからのメールの転載です。お誘いを受けて「風の旅人」にエッセイを書かせてもらってきました。それが休刊して、このたび、復刊第一号がめでたく発行となる、というお知らせです。まったく新しい体制でのスタートですので、これからもいろいろ大変かと思います。みなさん、ぜひ、応援してください。

次第に秋深まって参りました。変わらずにお過ごしでしょうか。
昨年の10月、9年間続けてきた風の旅人を休刊致しました。
そしてあれから一年が経ちました。あの震災後、日本の何かが変わったことは間違いありません。しかしそれが一体どういう変化なのか、まだ実感としては、わかりにくい状況です。
私は、この7月23日、かぜたび舎という会社を作り、風の旅人の復刊の準備を進めてきました。この混迷の時代に、写真と言葉の力によって、生きることの根元的な問いを発信していきたいという思いからです。
その復刊第一号が、12月1日に発行となります。テーマは修羅-2011phenomena 川田喜久治さんの新作写真をはじめ、3.11以降の生き方を見据えたものとなっています。
今後、風の旅人は、書店で販売は行いません。現在の疲弊した書籍流通制度に依存すると、返本対策で消耗してしまうからです。
オンラインで事前にお申し込みいただき、できるだけ在庫を増やさない方法で、何とか、この出版不況を乗り越えて運営を続けていきたいと思います。
お忙しいとは思いますが、ホームページで復刊第一号の内容をご覧頂ければ幸いです。
そして、もし少しでもご関心を持たれるようなことがあれば、オンラインからお申し込み(メールでも可)頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

(株)かぜたび舎 代表取締役
風の旅人 編集長 佐伯 剛
http://www.kazetabi.jp/

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