小栗康平 手記
栃木・蔵の街かど映画祭
2008/09/25
町に残る歴史的建造物をミニシアターにして、さまざまな映画を上映する映画祭。昨年、ここで「埋もれ木」が上映されましたが、会場が小さく観客があふれてしまいました。で、昨年に続いて「埋もれ木」のアンコール上映が行われることになりました。会場は栃木高校の講堂で、今年のキャパシティは350。十月四日の土曜日、午後四時からです。詳しくは映画祭のホームページを参照してください。上映終了後、俳優の仁科貴さんと私とでトークを行います。仁科さんは、亡くなられた川谷拓三さんの息子さんですね。川谷さんとは「伽倻子のために」でご一緒しました。東映の大部屋から上がってきた、きわめて個性的な役者でした。ヤクザ映画が多かったようですが、とても人間的な深さをもった方でした。仁科さんは、父親に瓜二つ。シャイで、こころやさしい人です。「埋もれ木」での出番は少なかったのですが、三重県での二ヶ月あまりの撮影の間、ずっと現場にい続けました。映画を勉強したかったのでしょう。「埋もれ木」のメイキング映像の大半は、彼がカメラを回していました。そんなこともあって、トークでは、映画作りのじっさいの組み立て方といったことを話し合おうと思っています。仁科さんは、「埋もれ木」のあと、田壮壮監督の「呉清源」に呼ばれて、いい仕事もしています。