小栗康平 手記
日経アジア賞
2008/05/26
第十三回の日経アジア賞・文化部門の受賞者に、韓国の俳優、安聖基(アン・ソンギ)が選ばれました。私は推薦文を書いただけですが、高野悦子さんをはじめとして五人の審査員の満票で決まったとのことです。第七回の文化部門でクリスティン・ハキムさんも受賞していますので、「眠る男」の出演者二人がこの賞をいただいたことになります。うれしいことです。
アンさんはよく知られるように韓国を代表する国民的な俳優です。でもこの国民的というのは、日本で考えられるような、だれでもが知っているという、ただ有名な俳優さん、ではありません。韓国はいまだ分断国家です。さまざまな緊張を強いられてきた社会です。幾多の局面で、人間として試されることがあったはずです。韓国を真に代表する、尊敬される人物として、アンさんは国民的なのです。
「眠る男」はまだ日韓の映画交流が解禁される前の仕事でした。その後の、韓流ブームからは想像もできない、さまざまなプレッシャーがかかる時代でした。現在、元気な韓国映画は東アジアでの合作の動きを、中心になって牽引しています。こうした節目、節目で、アンさんはいつもいい仕事を残します。
先日、東京のホテルでその授賞式とレセプションがありました。久しぶりにいろいろ話をして、私としては珍しく、写真を撮ろうと思いたったのですが、カメラをもっていません。そういえば携帯電話があると気づいたのですが、じつはその機能を私はこれまで使ったことがないのです。あれやこれやいじって、結局は詳しい人に撮ってもらったのですが、さてそれをこのホームページにのせようとしたら、今度はどう取り込んでいいのかがわかりません。で、今日は文章だけです。後日、写真を。