小栗康平 手記
鉢植えのスイカ
2008/06/19
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昨年、ある雑誌に下記のエッセイを書きました。
友人から時計草の鉢植えをいただいた。正しくはクダモノトケイソウで、誘引されたツルの下の方ですでに幾つか実をつけていた。
二十年近く前、私はこの甘酸っぱくておしい果実を初めて知った。「死の棘」の撮影で奄美に滞在したときである。パッションフルーツともいい、南の暖かいところで育つものだから、そのパッションとは情熱といったことかと勝手に思っていたら、そうではなかつた。Pは大文字で、キリストの受難を意味するらしい。
じっさいに花を見ると、なるほどそんな気がしないでもない。キリストが磔にあった姿だということらしいけれど、私には時計の文字盤と見る方が納得がいく。
まさかこうしたものが鉢で育てられるとは思っていなかったので、この夏はこの花と果実を十分に楽しんだ。花をつける度に綿棒で受粉し、熟れるとまるで不発弾のように鉢の中に落ちる。採りたてはピチピチで酸味も強い。十余りは収穫しただろうか。数は多くないけれど、それがかえって貴重に思えてよろこびが大きい。
鉢をくださった友人はかつて太田市場が秋葉原にあったころそこにいた人で、いまは独立して茨城で出荷組合を経営している。とにかくよく知っている。農家に作付けの指導をしながら、市場でそれを高値で売るのが仕事だから当然だとしても、聞くといちいちなるほどと思うことばかりで、摘果と摘蕾の違いなども教えられた。私などはまったく無知そのものである。
時計草のように鉢で育てられる、なにかおもしろいものは他にあるだろうかと聞くと、ドラゴンフルーツもあるよという。形といい、大きさといい、これもやってみればきっとなかなかだろう。でもその友人は、来年は鉢でスイカをやったらどうだという。小玉スイカかと聞くと、ふつうの大玉だって大丈夫だという。信じがたいけれど嘘をいう人ではない。
スイカをというのには事情がある。私のところには小さな菜園があるのだけれど、畑を開いた最初の年、とんでもなく立派なものが採れただけで、その後はどうやってもうまくいかない。こういうツルの、なん節目の雌花をこうして、などと詳しく指導を賜るのだが成果が上がらず、いってみればサジを投げて、もう鉢にしろといっていることになる。
さてどうしたものか。鉢に生ったスイカというものも見てみたい気もするが、どうも気持ちがおさまらないで、迷っている。

ほんとうに来てしまいました。文中の友人が、組合の農家の人に頼んでつくってくれたものです。私はなにもしていません。いただいただけです。スイカは大玉ではなくて、スイートボールという名前がついた、すこし小ぶりなものですが、やはり相当おかしいですね。
受粉した日が六月六日だったとメモが貼り付けてありました。大きくなるのが早いです。スイカは受粉から三十五日で収穫とのことでしたので、あと二十日もすれば食べられることになります。そこそこには甘くなるだろうといわれていますが。
ちなみに、私は今年も地植えでスイカの苗を二本、植えているのですが、なんと、この鉢物のスイカよりも葉は小さいし、貧弱です。まだ花もつけていません。友人は、まあ、今年も駄目だね、といって帰っていきました。
ケータイ写真
2008/05/30
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ブログで携帯からの写真の取り込み方が分からなくてと書きましたら、「埋もれ木」の進行スタッフから、懇切丁寧に、そのやり方がメールされてきました。
添付で送るか、別売りのケーブルをつなぐか、いろいろあるのですね。電気屋に行って尋ねたところ、携帯電話についているカメラも驚いたことに何百万という画素数があるそうです。新聞社の取材で、では写真を一枚などといわれて、ケータイでガシャとやられるのはなんとも興ざめでしたが、あれでも使えるのですね。でも私のアン・ソンギさんとの写真はちょっとピンボケ、でした。

日経アジア賞
2008/05/26
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第十三回の日経アジア賞・文化部門の受賞者に、韓国の俳優、安聖基(アン・ソンギ)が選ばれました。私は推薦文を書いただけですが、高野悦子さんをはじめとして五人の審査員の満票で決まったとのことです。第七回の文化部門でクリスティン・ハキムさんも受賞していますので、「眠る男」の出演者二人がこの賞をいただいたことになります。うれしいことです。
アンさんはよく知られるように韓国を代表する国民的な俳優です。でもこの国民的というのは、日本で考えられるような、だれでもが知っているという、ただ有名な俳優さん、ではありません。韓国はいまだ分断国家です。さまざまな緊張を強いられてきた社会です。幾多の局面で、人間として試されることがあったはずです。韓国を真に代表する、尊敬される人物として、アンさんは国民的なのです。
「眠る男」はまだ日韓の映画交流が解禁される前の仕事でした。その後の、韓流ブームからは想像もできない、さまざまなプレッシャーがかかる時代でした。現在、元気な韓国映画は東アジアでの合作の動きを、中心になって牽引しています。こうした節目、節目で、アンさんはいつもいい仕事を残します。
先日、東京のホテルでその授賞式とレセプションがありました。久しぶりにいろいろ話をして、私としては珍しく、写真を撮ろうと思いたったのですが、カメラをもっていません。そういえば携帯電話があると気づいたのですが、じつはその機能を私はこれまで使ったことがないのです。あれやこれやいじって、結局は詳しい人に撮ってもらったのですが、さてそれをこのホームページにのせようとしたら、今度はどう取り込んでいいのかがわかりません。で、今日は文章だけです。後日、写真を。
夏野菜
2008/05/11
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ゴールデンウィークも終わり、木々はもう夏の装いになっています。家庭菜園といえるほどのものではないのですが、ナスやきゅうりなどのちょっとした夏野菜を例年、作っています。もう二十年近く前のことになりますが、初めて木々を切って拓いた土地にスイカを植えたら、とんでもなく立派なものが収穫できました。でも以後、スイカはなかなかうまくいきません。今年は見かねた友人が土壌改良剤や肥料とともに、マルチといわれるビニールを下さいました。地温を上げるためです。で、私としては、地温計や酸度を測る器械まで買うはめになりました。はたして上手くいくでしょうか。




先週の日曜日、日本代表とフィージー代表との試合を見に、国立競技場へ行きました。遊びの報告ばかりで気が引けますが・・・。
大雨警報でも出そうな荒れた天気でした。席は正面スタンド。でも屋根は私たちの席まで延びていません。合羽を買い、勇気を振り絞って雨の席には着いたのですが、五分ともたずに退散。上段まで上がって、雨を避けた立ち見、になりました。
ジョン・カーワンがヘッドコーチについてから、日本のラグビーは確実に強くなってきているようです。でも残念ながらこの日はダブルスコアで敗れました。前半は三つのPKでリードしていたのですが、これも相手のミスから得たPK。後半は日本のミスを手掛かりにして、フィージーが立て続けにトライを奪いました。日本は最後まで、ノートライ。PKを選択した判断ミスというよりは、PKをせざるを得ないところでゲームを切られてしまった、力の差だったでしょうか。やはりラグビーはトライを見たいものです。
同行したのは高校のときからの友人。元ラグビー部員。でも悲しいかな、高校三年間でたった一度しか勝ったことがない、弱小チームのロックでした。