小栗康平 手記

NHK日曜美術館

2013/03/10

デンマークの画家、ハンマースホイがこの番組で取り上げられたときに、私に声をかけて下さったディレクターがまた私を誘ってくれて、ロケで仙台、石巻へと行ってきました。二月末のことです。恥ずかしいことに今回もまた、ディレクターに教えていただくまで、私は知らなかった作家、でした。彫刻家、高橋英吉。
石巻に生まれた高橋は、昭和十七年にガダルカナル島で戦死しています。三十一歳か三十二歳か、でした。「海の三部作」と呼ばれている、すばらしい木彫が残されました。この夭折の彫刻家を悼んで、作品を常設で展示できるようにと、石巻文化センターが作られたと聞いています。地域の人たちのさまざまな思いが寄り集まってのもの、だったのでしょう。石巻の海の、真ん前でした。そして二年前の大震災。センターは津波にのまれましたが、高橋の「海の三部作」は流されませんでした。それを全国の美術館関係者たちがボランティアで救いだし、修復し、今、宮城県立美術館で展示されているのです。
「潮音」「黒潮閑日」「漁夫像」どれもがいいものです。彫られている人が、うつくしい。高橋という人間が、うつくしいのでしょう。人間がおおらかに大きくて、男の顔が、うつくしい。私は見せていただいて、うろうろして、あれこれ考えさせられました。つぎの日曜日、三月十七日放送予定です。

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